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神奈川で農家になろうと会社を辞め、有機農家さんの元で研修を行い、結局独立就農せず就職した話。

タイトル長いですね!

先日、農家になろうと考えられている方が、私がどうして今の道を選んだかを色々と聞いてこられました。

そこでの疑問は、よく考えたら自分が会社を辞め、農家になろうとした時にも気になった点だなと。

その疑問に対する答えをまとめておくのは、神奈川県で新規に農家になろうと考えている方に対して多少の参考になるのかなと思い、記事を書く次第でございます。

初めに自己紹介

山田直明と申します。28歳男。出身は岡山県。非農家の生まれ。現在は体験農園などを運営する株式会社えと菜園に勤めています。

今に至る経緯としましては、

2013年3月    大学卒業→大手?有名企業に就職

2015年12月    その企業を辞める

2016年1月〜12月 藤沢市にある相原農場のもとで研修させていただく

2017年4月〜   株式会社えと菜園で働き始める

となります。

どんな質問をされたかと言いますと、以下となります。

Qなんで、かながわ農業アカデミーではなく、農家さんの元での研修を選んだか?

Q研修をやってどうだったか?力がついたか?

Qなんで、独立就農するのはやめ、就職したか?

それぞれについてお答えします。

Qなんで、かながわ農業アカデミーではなく、農家さんの元での研修を選んだか?

まず、神奈川県で農業を始める際、大まかに2つのやり方があります。

・かながわ農業アカデミーに通う

・特定の農家さんの元で農業研修を行う

(参考:神奈川県HPより

いずれかの方法で農業技術を会得し、様々な書類を提出し、農地を借りる、といった流れとなります。

アカデミーに関しては、この記事を見ているのが社会人の方だったら、技術専修科を選ぶことになると思います。さらにその中で、野菜なのか花きなのか果樹なのか、独立就農チャレンジなのかを選ぶことになります。

そこで私は、アカデミーではなく、「特定の農家さん」にあたる藤沢市にある相原農場さんの元に研修に通わせていただくことにしました。

(相原農場HP:http://www.rangers.bz/~aihara-farm/ この中で、相原さんのところを卒業し農家になった方の紹介記事があるので、すごく参考になると思います。→ http://www.rangers.bz/~aihara-farm/kensyusei.html )

ではなぜ、相原農場さんの元で研修させていただくことにしたか?

第六感です。

というと参考にならないと思うので、説明します。

けれど、正直動物的な直感の部分もあります。

  • 1年間をどんな人たちと過ごすか

かながわ農業アカデミーにも説明会やアカデミー祭の際など何度か足を運びました。また、相原農場さんへも援農という形で何度か足を運びました。

それでどちらで学びたいか、空気感など、どちらが合うかをまず感じました。

アカデミーにせよ、どこの農園に通わせてもらうことになるにせよ、実際に足を運んでみるといいと思います。最低でも1年間過ごす場になるので、どちらの方が力がつきそうなのか、有意義に過ごせそうか感じてみてください。

もちろん相原さんも、他の農家さんも基本的に忙しい方々なので、私が言うのも変ですが、いきなり「話を聞かせて」みたいな形で連絡を取るのはやめた方がいいと思います。

色々な場所で野菜を売られているので、そこで野菜を買うついでに少し話をしたり、援農という形で農作業の手伝いをし、休憩時間に話をするなど、タイミングが大事です。

  • お金に関して

会社を辞める際には多少の貯蓄はありましたが、そこまで余裕があるわけではなく、できるだけ出費は減らしたいなと思っていました。

アカデミーだと、授業料や教材費などで年間で26万円ほど、さらに給食費がかかります。寮に入ると水道光熱費、食費込みで30万円ほどなので、どこかにアパートを借りて暮らすよりトータルで安くなるかな、などと考えていました。

(平成31年度学生募集案内:

方や、研修だと食費などは寮暮らしよりかかるがバイトもできるし、そっちの方がいいかな、など。安くて暮らせるとこないかなぁと探していたら、どうにか相原農場に自転車で通える位置にシェアハウスを見つけたのでそこに住むことにしました。(共益費込みで3万5千円!寝る部屋は狭かったけど、キッチンや風呂、トイレなどは綺麗で広々!)

(3)就農後、どんな生き方を描いているか

結局のところ誰にとっても最善の道というのは同じではないわけで、その後の生活をどう考えているかだと思います。

ただ単純に今の生活が嫌で、消耗してて、なんとなく農業だとか田舎暮らしに憧れる人がいるかもしれません。

多くの場合、そういった気持ちでは批判されがちですが、私はありだと思います。それについては別の記事に書いています。

(ちょっと元気がない人向けに書いた記事:

話を戻して、私の場合、前の会社を退職する前にコトモファームの上級者コースに通っており、そこの総合講座でこれからの自分のやりたいことを考えていました。

(コトモファーム上級者コースがどんなコースか。

私は、野菜作りだけでなく、何かしら教育分野にも携われたらなぁと考えていました。

ざっくり言うと、午前中畑して、昼休んで、夜塾でもやるか、みたいなイメージでした。それで、学校があんまり好きじゃないなぁって子には畑でちょっと一緒に作業するとか、居場所づくりとか、そんなことをイメージしていました。

半農半教育、みたいな感じですね。

それで、週4日農業の研修をし、バイトで家庭教師を行い、週1回は NPO農スクールでトレーナーを務め、週1回は東戸塚にあるおっちー塾というフリースクールでボランティアをしていました。

(おっちー塾:https://occhijuku.weebly.com

そんな風な生活を想像していたのと、相原農場では様々な人の居場所となっていたこと、その辺りを考えて相原さんに研修に行かせてもらえないかと申し出ました。

(1)(2)(3)と色々書いてきましたが、おそらく今考えると単に胃袋をつかまれてしまったからかもしれません(笑)

研修先で食べた、相原さんのお母さんの作る料理が本当に美味しくて。

Q研修をやってどうだったか?力がついたか?

研修をやって一番変わったのは、体が健康体になったところです。

もともと痩せ型なのですが、夏はもっと痩せました。骨皮直明になってました。

身長が178センチくらいあるのですが、体重が50キロ台になりました。

自転車で片道30分、畑で1日、昼ごはんは健康的で美味しい食事、メキメキと健康体になっていました。

会社員時代は運動不足、外食中食と不摂生な生活習慣だったので、かなり効果あったと思います。あと筋肉もついて気がします。

(※注※本人じゃありません。wixフリー画像です。)

・・・と、聞きたいのはそこじゃないですよね。

農業をやる上で色んな観点があると思うのですが、農作業のスピード、量、農業についての知識、経営についてちょっと書きます。

まず、農作業について。

農業は体を動かす職業だと思うので(そうじゃないやり方もあるようですが)、その点はスポーツ的に考えてみるといいと思いました。

知識や戦略などは机の上でも学べますが、サッカーは実際にサッカーをしながらじゃないと上手くならないように、農作業もスピードや正確さは実際に何度も反復でやっていかないと上達しないと思います。

その点、作業が上達したのはもちろんありますが(まだまだですが)、何よりどのくらいのスピードと量を相原さんがやっているのかが見えたのが良かったと思います。どのくらいのスピードと量を目指せばいいか分からないと、中々上達しようという気は起きないと思います。

次に知識について。

これは、実際に畑で起きること、机の上での勉強どちらもやるのがいいなと思いました。実際に畑で起きることを、すぐに見て「これは何々だ」「おそらく何々が原因だろう」と判断ができる人の近くにいると、知識の吸収スピードが上がります。この点、ネットで調べたり、本を読んだりしても、正直分かりかねることが多いですし、時間もかかります。

ただ、師匠となる人の中にある「体系」、「なぜそのような判断になったか」については手引きがあった方がいいなと思います。なんかコトモファームの上級者コースの宣伝みたいになりますが、その点、理論的なところを上級者コースで学べたのは大きかったです。

(コトモファーム上級者コースがどんなコースか

有機農業の有機という言葉は、「機(カラクリ)、有り」つまり「自然には法則がある」みたいなところからきているらしいのですが、師匠の中の「知識体系」はそう言った自然法則に則っていると思うので、生物学や化学など農業に関する理論的なところを勉強するのはいい手だと思います。

最後に、経営について。

ここについても肌感で学ぶことができました。例えば実際の収支を見せてもらうという話ではないのですが、どの野菜をどういった値段で出しているのか、どのくらいの量で何人の人に販売しているのかなどを学べました。

それと作業量を考えると、いくらくらいお金を稼ぐには、どのくらい働くことが必要だなと見えてきます。

そういったことが見えてきた上で、巷の農業の経営の本などを見ると、行間を読むことができるようになった気がします。(もちろん読めてないこともたくさんあると思いますが!)

以上まとめると、研修をやる前とやった後とでは見えてくることも変わります。

初めから師匠のやる通りに研修1年程度ではできるわけもないです。

しかし、目指すべき点であり、どんな風に自分はやるか比べられる基準点を持つことができ、その後の進路を決める上で良い経験になると思います。

Qなんで、独立就農するのはやめ、就職したか?

前向きにいうと、「野菜そのもの」よりも「野菜を育てるという経験」を提供する仕事の方に自分の関心が強かったから、そちらを選んだとも言えます。

当初はその提供の相手として考えていたのがフリースクールの生徒達などでしたが、会社ではもっと広くいろんな人になります。

正直なところ、野菜作り、販売だけでやっていくのはキツそうだ。何より、独立してやっていくにはキツそうだと腰が引けてしまったところもあります。

1日畑で働いて、値付けも自分でして、販売に行って、お客さんとやりとりして、経理もやって、のような全てを自分でやることが独立就農というものだと思うのですが、全部やるのかとなると、「ウワーッ!!」となりそうだと思いました。(ボキャブラリーが少ない・・・)

もちろんその分やりがいもあるでしょうし、力もつくと思います。ドッシリやっている師匠や先輩方には頭が上がらないし、本当にすごいなと思います。

その点でいうと、今こうして文章を書いているように、自分にはそういう働き方、畑にも出るし、記事も書くし、体験農園の柵をDIYするし、会員募集のチラシもまくし、色々なことを数人の人と一緒に仕事をするといった働き方が性分に合っているなと思います。

(堆肥や残さを置く場所の枠を一緒にDIY)

それとなにより運良く、えと菜園の社長の小島さんに雇ってもらえたのが大きいです。

あと、ここで一つ注意点としては、私が独立就農しないという道を取れたのは、青年給付金(今は、「農業次世代人材投資資金」って名前になってるんですね。)をもらっていなかったということもあります。

以下引用している、「準備型」をもらった人は就農することが条件なので、私のように「やっぱり独立就農やめとこう」という選択はできなくなるので注意が必要です。(選択できないというよりか、選択したら返金が必要になる。あと、そもそも受けられるのが就農予定時の年齢が、原則45歳未満の人というのが条件となります。)

ーーー

農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)

次世代を担う農業者となることを志向する者に対し、就農前の研修を後押しする資金(準備型(2年以内))及び就農直後の経営確立を支援する資金(経営開始型(5年以内))を交付します。)

ーーー

給付金を得る場合は、独立就農しようと決意したのち申請ください。

補助など制度の詳しい話は、就農予定地の市町村や県にご相談ください。

と、長くなりましたが、こんな感じになります。

参考になれば幸いです!

山田

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