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雑草を見る眼差しを深めると、自分自身の生活や心が豊かになる

日本大学生物資源科学部くらしの生物学科の小島仁志といいます。助手をしております。

今日はこちらで、雑草の生態と農地の生物多様性というテーマでお話しさせて頂きます。

-都市の中の市民農園の意義

 都市の中の市民農園は大事だと私は思っています。より豊かな気持ちで生活するには、自然と触れ合える場や植物を栽培することはとても大事なことだと思います。そして、それだけではなく、農園というものが町の中にあるということは、都市の生態系を維持する上でも重要なことだと思います。さらに、コトモファームさんは自然農法を採用していて、畑は畑としてあるのですが、無理な栽培はせずに自然と一体になるような、雑草(野草)も大事にするような管理方法をされている。そこにとても感動しました。ここにはどのような生態系が成り立っているのか、とても興味深くも感じます。

-草地の中にたくさんの生き物が

 昔から農業をやるときには、「雑草を殺さねば、雑草に殺されるぞ」というような格言があります。防虫害の対応のためだったりで、どうしても今までの農業のやり方だと雑草を排除しないといけない、畑の中にいらない植物が入ってくることは悪いことだと言われていたんだと思います。それは当然な考えではありますが、ところが、コトモファームさんの畑を見ると、草地の中にたくさんの生き物たちがいました。花も咲いていて、昆虫もいて、その中を子どもたちが走り回っている。自然農法によって雑草地が生み出され、他の生き物たちにとっても、とても有用な場所になっているのでしょう。ここは雑草たちや他の生き物たちが緩やかに包まれているような場所で、そこで作物と向き合って農業をすることはとても人間にとっても楽しいんじゃないかなと思います。

-自分だけでやっていて、ちょっともったいないな

 実は自宅で菜園をやっていたりしますし、ベランダでもやっています。ものを育てるって面白いですよね。でも自分だけでやっていて、それってちょっともったいないなと思っていて。ここに来ると、さまざまな人が集まって交流が深まったりするので面白いなと思います。その中で、副次的に得られるものかもしれませんが、草花の中で一緒に心が育つとか、気楽になれるとか、そういった経験ができるのも魅力なんじゃないかなと思いますね。

-農地があること自体、生物の多様性を守れるような場所になっている

 農地があること自体、生物の多様性を守るような場所になっている。そこに子どもたちだったり、都会から来る人などの交流が生まれたり、日常ではあまり見たことのない自然の中で野菜を育てたり、そういった魅力が自然農法でやることの意義としてあるのだと思います。

 伝統的なやり方の中に自然農法も古来はあったと思います。しかし、より生産寄りになってくると、ほかの植物を排除して栽培をしなきゃいけないものにだけ焦点が当たる。でも山菜のように半野生の自然の中で私たちの生活に根付いているものも確かにあって、口に入るものづくりには色々あっていいと感じます。そう言った意味では、コトモファームでは、農地も含めて自然そのものを楽しんだり、交流したり、人と人がつながることをテーマにしている。ここは、栽培物を美味しく作ることに重きを置く一方、農地の多面的な機能にも焦点を置いている場所ですね。

-自分たちの心も豊かになることも、生物多様性では重要

 当然、生物の多様性っていうのは人間も入っています。生態系が豊かになると同時に、私たちも保全をする中で交流が増えたり、自分たちの心も豊かになったり、そういったことも生物多様性では重要です。コトモファームの畑はそれができる場所なんだと思います。

生物の多様性を守るっていうのは、種の多様性や、遺伝子の多様性、それを守ること。保全をする人間側の立場からは、当然生物の多様性を豊かにすることで、自分たちの生活や心が豊かにならないと続けることができないと思うんですよね。そうじゃないと守れないと思います。

-自分の生活と農園の風景がつながっていく

 ここにいる植物はたぶん首都圏から来る人にとっても、身近にあるものだと思うんです。自分の生活と農園の風景がつながっていくと面白いんじゃないかな。雑草ってどこにでもいるから、雑草によって生活圏とコトモファームとのつながりが想起される。そうなってくると、普段の生活の中で生き物を見る眼差しが変わってくると思います。そういう意味でもここに来て、植物や生き物を観察することは大事なんじゃないかなと思います。

-雑草を見る眼差しを深めると、自分自身の生活や心を豊かにする

 「雑草は人を殺さずに人を生かす」今はそんな時代なんじゃないかなと、思いますね。

伝統的な農法からすると、雑草を殺さねば雑草に殺されるという言葉がありますが、生物多様性を大事にしましょうって面から見て、雑草を見る眼差しを深めると、自分自身の生活や心を豊かにするんじゃないかな。排除しないで、一緒にやっていく。本来なかったものを生活に取り込みつつ。そういう気持ちって大事だと思うんです。こういうことをコトモファームの中で感じられたら楽しいんじゃないかと思います。

-雑草という名前の植物はない

「雑草という名前の植物はない」っていう言葉もありますね。僕からしたら雑草じゃなくて別の言葉が欲しいですね。雑なんじゃなくて、人の生活を豊かにするとか、心をゆたかにするとか。人を生かすみたいな、育てるみたいな、そういう言葉があればいいなぁって思ってます。うーーーん。

(近くにいた学生)「役草とかどうですか?」

役草!役に立つ草!薬草のイメージもあるね!いいんじゃない?

雑草じゃなくて、役草。いいんじゃない?!いいね!授業で使っていい?笑

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